平城宮跡を突っ切る近鉄奈良線の大宮通り地下への移設方針について、近鉄、奈良県、奈良市の三者が基本的な合意に達しました。
県の構想では新駅は朱雀大路駅(仮称)、新大宮駅、油阪駅(仮称)の3駅。
近鉄側が「途中駅の配置については全くの白紙」とコメントするように、具体的な場所の選定はこれからですが、県側の事情をもとに予定地を考えてみました。
朱雀大路駅(仮称)
平城宮跡の朱雀門ひろば前でほぼ確定。大極殿の完成以降、奈良県は平城宮跡を観光資源として活用しようと力を注いでいます。2018年には展示施設「平城宮いざない館」を筆頭に、飲食・物販施設などがオープン。県は75億円を投じました。
ただ、大和西大寺駅からのアクセスは徒歩もしくはバスしかなく、集客に苦戦しているのが実情。さらに県は、大宮通り向かいの積水化学の工場を立ち退かせ、広大な敷地を入手済みですが、有効な使いみちを見い出せていません。
駅が完成すればそれらは一気に解消。奈良公園周辺に次ぐ集客エリアになることが期待されます。
新大宮駅
既存の地上駅を大宮通り地下に移設するまでは間違いありませんが、問題はどこまで西に動かせるか、です。
2020年、県営プール・警察署跡地における大規模プロジェクトによって、奈良県コンベンションセンター・JWマリオット ホテル奈良・NHK奈良放送局が一体的に整備されました。
こちらも立地が難点で、県としては新駅をできるだけ施設に近づけたいはず。ただ、既存駅周辺は県内では数少ないの歓楽街で、大きく移動させると反発必至。駅の配置で揉めるとすればココです。
油阪駅(仮称)
新駅は1969年、新大宮~奈良駅間が地下化された際に廃止になった旧油阪駅跡。JR線との交点付近に設置されると思われます。
近鉄奈良駅〜JR奈良駅の乗り換えは徒歩15分程度と距離がありますが、油阪駅が出来たとすると5分ほどに短縮されます。
現在でも北方向に向かって旧油阪駅の駅前商店街の名残りがあり、数店舗が営業中です。
近年の奈良県の積極的な開発姿勢は、近鉄奈良線の移設ありきだったように見受けられます。議論も県が主導してきました。
一方の近鉄は「行政側の費用負担が前提」と少し冷めた対応で、両者にはかなりの温度差が。かなりの紆余曲折が予想されるので、長い目で経過を見守るくらいが丁度いいと思います。