国立京都国際会館は月に何度か公開日を設けていますが見学範囲は1階ロビー、庭などに限られていました。7/22~7/25に開かれたイベント「ICCKyotoOpen Week」ではその範囲を大幅に拡充。メインホールといった普段見られない核心部を見ることができました。
国立京都国際会館とは
1966年に完成した日本初の国際会議場です。設計は丹下健三事務所からの独立間もない大谷幸夫で、特に力作が揃ったとされる“戦後3大コンペ”のひとつを30代にして勝ち抜きました。台形と逆台形を組み合わせた形は、周囲の山並みとの調和および機能性を追求した結果で、合掌造りに着想をえたといいます。
今回は特別公開エリアを主に紹介するので、通常の公開日の様子は↓の過去記事をご覧ください。
ロビー
ロビーは段差によって複雑に入り組んでいます。会議参加者が非公式に対話できる場となるよう力が注がれました。
3つのV字の柱が一直線に並ぶ。京都国際会館を象徴するアングルです。2階への階段はいつも閉鎖されていたので生で見るのは初めて!
見上げるばかりだったステンドグラスを接写!
ステンドグラスのすぐ近く、青白く光る場所からは…
アプローチが見下ろせました。玄関からロビー・会議場に繋がる一本道で、入館者は必ずここを通ります。
天窓から差し込む自然光によって強調される凹凸はタタキ仕上げによるもの。職人さんがコンクリートを叩いて削っていくという途方も無い作業によって生み出されています(めちゃくちゃ大変だったらしい)
「苔」をイメージしたモスグリーンの絨毯が敷かれた一画。波側の模様は枯山水のようにも見えます。
Room A
2階のRoom A。馬蹄形のレイアウトが可能な珍しい部屋です、天井の意匠も見どころです。
図らずも、京都国際会館のコンペ2等になった菊竹清訓案を思い起こしてしまいました。
Room D
カーテンのひだのような側壁が印象に残るRoom Dは、当初は記者発表の場だったといいます。照明を手がけた石井幹子氏は、現在も第一線で活躍されています。
無機質に並んだ椅子がアートのよう。
メインホール
日本で唯一、国連方式に対応した会議場です。京都議定書の議論と採択がここで行われるなど、数多くの国際会議の舞台になっています。
「4層吹き抜け」や「収容人数2000人」という数字だけでは伝わらないド迫力空間。私のあとから入ってきた年配男性が「なんじゃあこりゃ!」と松田優作ばりに驚いていました。
天井の円盤は「地球」をイメージ。縦横の重なりは「雲」です。
席は4席で一組。国際会議の場では、前2席に国の代表が座り、後ろ2席のスペシャリストからアドバイスを受けるといった形でしょうか(全く知りませんが)
6角形の窓がある同時通訳ブースは、国連公用語である6言語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語)と日本語に対応します。「新美の巨人たち」の京都国際会館特集回では、Hey! Say! JUMPの伊野尾慧さんが入っておられましたね。今回のイベントでは中を見られる見学ツアーもありました(私は落選)
京都国際会館メインホールのステージに立てるなんて!普通に生きていればありえません。つかの間、世界のVIP気分を味わえました。
ROOM C-2
こじんまりとしたRoom C-2でクールダウン…といきたいところ、ここにも見どころが。おそらく日本唯一である斜めの障子が嵌っています。
底面が斜めに切ってあるので、滑るのも斜めのまま。
障子の先には宝ヶ池が広がります。
コンペが実施されたのは1963年。東京オリンピックを翌年にひかえ、国際社会でのプレゼンスを高めようとする意気込みが伝わってきました。募集要項の一文「世界に誇るにたる優れた造形作品」を実現した名建築です。