現代建築

呉・称名寺のトンガリ屋根の鐘撞堂

呉の中心部から一山越えた先の阿賀の街。山裾にある称名寺の鐘撞堂は「多くの方にお寺に興味を持ってもらえるようなものを」との住職の思いを受け大西麻貴+百田有希/o+hが設計。2020年に完成しました。

2020年11月の訪問

境内への階段を登る途中から波打つ屋根が見えてきます。

トンガリ屋根の下は鍾乳洞のよう。長い年月をかけて伸びる石筍を思わせる造形です。

ワークショップに呉工業高等専門学校の生徒さんが参加し、杉皮の屋根葺きを手伝いました。

建築家ユニットを組むお二人はどちらも京都大学工学部建築学科卒。そのうちの大西麻貴さんは過去のインタビューにおいて、建築家を目指したキッカケにアントニオ・ガウディのサグラダ・ファミリアを挙げています。

吉阪隆正といったル・コルビュジエの弟子の建築が好きだとも語っていて「風が通り抜け、土の匂いが感じられて。建築自体が、すごく愛情深い。」と評価。粘土をこねたような鐘撞堂ともどこかつながりますね。

これまで手がけられた他の建築も、軽やかだったり有機的だったりするものが多いです。

撞木は皮付き。梵鐘には「昭和廿三年懸之」と刻まれるので、金属供出をした前代の作り直しと思われます。

煙が立ち昇っている辺りは王子マテリア呉工場。映画「この世界の片隅に」ですずさんの義父、北条円太郎の勤務先として登場した第11海軍航空廠と広海軍工廠があった場所です。

昭和20年5月5日に空襲で壊滅した様は、境内から一望できたことでしょう。鐘の音はそんな街と海に向かって響きます。

ユニークな鐘撞堂をと促した住職さんのお寺なだけあって、本堂(1988年竣工?)と墓地のレンガ壁もちょっと個性的。天正18年に禅宗から真宗に改宗、称名寺に名前を改めました。

少し離れた場所から眺めると、ちょこんとした姿が一層かわいらしい。大晦日には除夜の鐘を実施。近所だったら毎年でも撞きに行きたいと思わせる鐘撞堂です。

所在地:広島県呉市阿賀中央9-8-2
アクセス:JR安芸阿賀駅徒歩8分


プロフィール

超高層ビルから茅葺民家まで色々と。建物のあるイイ風景を求めて都市、町、村を巡ります。