万博公園が観光地に。太陽の塔など3つのレガシーが復活へ

大阪では万博誘致への機運が徐々に高まっていますが、前回の大阪万博の舞台となった万博公園(吹田市)も再び脚光を浴びています。3月19日に内部公開が始まる太陽の塔に加えて、夢の池の噴水とEXPO’70パビリオンのスペースシアターの復活計画が発表されました。それら3つのレガシーの現地レポです。
※一部は以前の撮影です

日本が高度経済成長を遂げている真っ只中の1970年に開催された日本万国博覧会。会場内には国や企業による116ものパビリオンが立ち並び、6400万人を超える人々が未来に思いを馳せました。

万博閉幕後、ほとんどの施設は撤去され、跡地は万博公園として整備。中心エリアは自然文化園となり、今では約51万本もの樹木が繁ります。一日最大835,832人が訪れた当時の面影はほとんどありません。

家族連れがのんびりする今の雰囲気も好きですが、せっかくの広大な公園。地元民だけでなく、もうちょっと観光客が集まる仕組みがあればなぁと残念に思っていました。なので、最近の万博公園のレガシー活用の動きは大歓迎

“枯れた”と思われていたスポットを積極的に活用することで魅力が増した好例。それは大阪城公園でしょう。2017年にジョーテラス大阪、ミライザ大阪城という2つの商業施設が開業。特にミライザ大阪城はずっと放置されていた大阪市立博物館(陸軍第四師団司令部庁舎)を見事に蘇らせ、大きな話題となりました。

大阪城公園に大阪城があるのと同じように、万博公園には太陽の塔があります。外から見るだけでも大迫力!シンボルとして十分役割を果たしていますが、3月19日からは待望の内部公開が始まります。

大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」を“冷たい概念でなく、人間生命の爆発的な高まりとして全ての人々に実感させたい” 岡本太郎は太陽の塔にそんな思いを込めました。空洞となっている塔内には生命の進化を表現した『生命の樹』が聳えています。

次に紹介するEXPO’70パビリオンにはその『生命の樹』を模したオブジェがあります。

EXPO’70パビリオンは万博開催時からここに残る貴重な建物。鉄鋼館の名で、前川國男によって設計されました。

建物内部にはスペースシアターと呼ばれる音楽堂があります。1008のスピーカーから流れる音楽とレーザー光線によるショーが観客を魅了していました。

で、これ今も動いてます。武満徹による前衛的な音楽にのせて客席が様々な色に変化。陶酔世界へ誘われるような演出でした。今はガラスごしに見学するだけですが、この空間を2020年頃を目処に“再生”します。スピーカーを全機稼働させるのかな。音の洪水に全身を包まれる凄い体験ができそうです。

そして写真右奥に見えるのが『生命の樹』を模したオブジェ。

黒い幹から生えるカラフルな枝。三葉虫とおぼしき生物が這い登っているのも確認できます。なかなかに不気味。太陽の塔内部の「生命の樹」は高さ41mなのでこのオブジェの何倍もの大きさです。

ちなみにEXPO’70パビリオンは万博当時の資料や展示物がものすごく充実。入場料200円を払う価値は絶対あります。

最後に紹介するのが夢の池。イサム・ノグチによる芸術的な噴水が5種6基。万博開催時は全身から水を吐き出していました。百聞は一見にしかず。↓の動画を御覧ください

夢の池の噴水が出てくるのは1:00あたりから。しかし、モノレールで会場を1周するという最高に素晴らしい映像なので全編視聴を強くオススメ。EXPO’70パビリオンではもっと鮮明な映像が見られます。

左『星雲』

円筒全てにちりばめられた噴霧ノズルから噴射された霧で巨大な霧の塔を創出。

右『彗星』

空中高く掲げられたアルミ鋳物の巨大なはこの下からジェットノズルより3kg/cm3の圧力で激しく水が噴射。高さ33m

左『コロナ』

上部は水槽となり、外壁を溢流する滝の噴水と下部からはジェットノズルで下方に噴射。

右『惑星』

ドーナツ状のステンレスを十字に組み、円を外周上にジェットノズルと噴霧ノズルを交互に配置。回転しながら水を発射。

『宇宙船』

2基のドーム状の噴水が、水面に浮き上がったり、水中に没したりして、宇宙船が宇宙を飛行する情景を演出。

この噴水復活がとても楽しみ!夜のライトアップがまた格別だったようですよ。

エキスポランドの閉園で一時は人がまばらだった万博公園周辺ですが、高さ日本一の観覧車を有するエキスポシティー及びガンバ大阪の本拠地であるパナソニックスタジアムの完成で賑わいを取り戻しました。

3つのレガシーの活用によって万博公園が観光地として復権を遂げるかもしれません。今後の万博公園をめぐる動きに大注目です。

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