奈良国立博物館の「走り大黒」は恐怖の「伽藍神」だった

奈良国立博物館で開催中の「奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-」 国宝、重要文化財がずらりと並ぶ展示室のなかで、その木像は異彩を放ちます。

手を大きく振り、足を踏み出す姿。奈良国立博物館がこの像を入手したオークション目録に「走り大黒天」とあったことから大黒天立像として扱われ、そのユニークなポーズで長年親しまれてきました。

しかし、近年の研究で寺院を守護する伽藍神であることがほぼ定説化。特にその中の感応使者とみられています。感応使者は、修行を怠る者を懲らしめるため釘を刺す(←物理的に)という恐ろしい神で、この像もかつて釘と槌を手にしていたといいます。

右手に持つ釘を、左手の槌で力いっぱい打ち付けようとする瞬間!に見えなくもないですが、説明書きには「疾駆する姿」とあります。走法は右手と右脚、左手と左脚を同時に出すナンバ走り。これで追っかけられるとか恐怖しかありません。

玉眼が睨みつけてきます。

「走り大黒」の類例が無かったからなのか、財宝袋を持たない、体格がスリムといった大黒天にしては少々不可解な点も“異形”という事でスルーされてきたようです。大黒天→伽藍神に転じた詳しい経緯はわかりませんが、京都・東福寺に姿形がそっくりの伽藍神があったことが、研究に大きく寄与したと思われます。

ドラゴンボールもびっくりの踏みしめ力

袍と袴を翻し、全力で躍動します。どんだけ怒ってんねん…

力強い背中!

「大黒様が疾走するユーモラスな姿」という従来のイメージとは真逆ながら、これはこれで面白い。

そんな伽藍神立像も見られる「奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-」は9月12日まで。奈良国立博物館が誇る国宝13点、重要文化財100点含む245点が撮り放題です!※展示替えあり