大和文華館で枝垂れ桜と吉田五十八の建築を愛でる

奈良有数の高級住宅街、学園前に佇む大和文華館。近鉄グループが運営する3つのミュージアムのうちのひとつで、日本、中国、朝鮮半島などの美術品2000点を所蔵します。

木々に囲われ、敷地外からは全貌を見ることはできません。緩くカーブする道を登っていくと横長の建物が徐々に姿を現してきます。

大和文華館本館。1960年、吉田五十八の設計によって立てられました。極厚のなまこ壁に覆われ、城郭のような雰囲気をまとっています。

建物と向かい合う枝垂れ桜は1984年に福島県三春町から贈られた「三春滝桜」の若木が成長したもので、今では桜の名所として地元誌に取り上げられるまでになりました。

訪れた日は運良く満開。白い花と白い石、青空とのコントラストが見事でした。

枝垂れ桜と建築

敷地には散策路があり、建物を一周できます。

館内は撮影NGなので、外から少し解説。

横長の建物に入ると、奥の展示場に向かう縦長の渡廊下があります。スリット部分には巨大な障子が嵌められています。

展示場の中央、ガラスに囲まれた「竹の庭」は、“自然の緑が、陳列室の中の空気をも彩るようにしたい。”という初代館長、矢代幸雄の美術理念と、吉田五十八の設計思想が結実した空間。影を落とし、風に揺れる竹は展示場に“動”を作り出します。

先端の休憩スペースからは蛙股池ごしに奈良盆地が一望できます。蛙股池は日本書紀にも登場し、日本最古のダム説もあるのだそう。

建築好きには間仕切りの格子の意匠が刺さるはず。近代の数寄屋建築を追求した吉田五十八がその力を存分に発揮しています。あそこだけは撮影OKにして欲しい…。

展示場の北半分は壁の色が少し違います

裏にも小さな枝垂れ桜。

荒々しさを見せる石積みとモダンな石垣。

なまこ壁は堅牢に見えてところどころ開口部があります。右側1/4くらいは事務室になっているので、油断すると職員さんと目が合います。ちょっと気まずいのでご注意を。

門の外には奈良ホテルのラウンジ(現・文華ホール、辰野金吾設計)が一部移築。それに引き寄せられそうですが、退場前にぜひ見てほしいのが門扉。

例の休憩スペースの格子を連想するようデザインになっています。