中之島図書館の裏側にくっついていた2つの書庫棟が取り壊され、およそ100年ぶりに図書館の裏側(1号書庫)が姿を現しました。
100年ぶり…という事は無くなった建物も古かったわけで、直結していた2号書庫は大正5年築、3号書庫は昭和2年築。「中之島図書館=住友家の寄付」なイメージが強いですが、2つの書庫棟は府が費用を出し、府営繕課が設計しました。
明治37年の開館当初、中之島図書館は本館と1号書庫のみの十字形。まず、2号書庫の増築によって裏側に伸び、その後、左右両翼を増築してこの写真の姿となりました。
中之島図書館の建物年表と蔵書数の推移をまとめたのが以下。青文字は今回の大規模改修工事で解体される建物、緑文字は耐震改修、赤文字は重要文化財部分※耐震改修済みを示しています。
明治37年 | 中之島図書館(本館および1号書庫)開館 | 30,155冊 |
大正3年度 | 109,186冊 | |
大正5年 | 2号書庫 | |
大正11年 | 左右両翼(北館および南館) | |
大正13年度 | 186,055冊 | |
昭和2年 | 3号書庫 | |
昭和9年度 | 253,265冊 | |
昭和21年度 | 356,728冊 | |
昭和32年度 | 404,252冊 | |
昭和35年 | 事務棟、別館 | |
昭和36年 | 食堂棟 | |
昭和44年 | 電気棟 | |
昭和48年度 | 608,716冊 | |
昭和58年度 | 728,012冊 | |
昭和63年度 | 838,484冊 |
蔵書数が100万冊を超えてピークになったのが1995年。その翌年、新たに開館した大阪府立中央図書館(東大阪市)に7割の蔵書を移したことで、中之島図書館は大阪関連本、ビジネス書などに特化。現在は約55万冊を収めています(うち、2号書庫は19万冊、3号書庫は29万冊)
2022年3月の解体現場。
2号書庫はレンガ造だったため、赤レンガが山と積まれていました。
3号書庫は鉄筋コンクリート造。木製扉には風格ある錠前も見えました。
2022年5月、背中が露わになりました。左の電気棟の解体が進むと、さらにスッキリします。
2号書庫増築時に開けたと思われる接続通路。上の窓まわりは120年前のままでしょうか。住友本店臨時建築部の野口孫市らが腕をふるいました。
中之島図書館を象徴するドームも見えるように。
今後、2つの書庫棟に代わって、地上5階建て、延べ床面積1800㎡の新書庫棟(令和6年完成予定)が建てられます。建物規模が1.5倍になるだけでなく、集密書架もしくは自動書庫が導入されれば、面積効率も大きく改善することでしょう。
楽しみなのは解体完了→新書庫棟着工までの期間。本館、南館、1号書庫の裏側が丸見えになり、大正後期さながらの後ろ姿が拝めるかもしれません。
【追記】