桜松館(おうしょうかん)は、日露戦争で沈没した軍艦「吉野」の桜(吉野山の桜)と、「高砂」の松(高砂神社の相生の松)を名前の由来とした旧海軍遺産。現在の建物は昭和4年に建てられた2代目で、青山クラブのすぐ隣に立っています。
玄関上部の蛇腹状の装飾。その下の凹みは「桜松館」のプレート跡でしょうか。
一部赤色に塗られますが、青山クラブと同様クリーム色のスクラッチタイルが、当初の装いだったかもしれません。
戦後は英連邦軍に接収。海上自衛隊の厚生施設を経て、昭和55年から30年以上にわたって呉音楽隊の庁舎&練習場でした。
ト音記号を踏みしめ館内へ。
建物の大部分はホールになっていて、見学ツアーでいただいた資料によると当時は「慰安会、映画会、講演会等」(新版呉軍港案内|1933)といった使われ方をしたそう。
「呉」「大砲」「桜」「錨」を組み合せたマーク。葉は「松」じゃないですね。
縁取りはアールデコ
2階は優美なカーブを描きます。
青山クラブの曲線バルコニーがそのまま桜松館まで続いてきたような印象。竣工はどちらも昭和4年。設計者も同じなのでしょうか。
階段親柱も丸い
エントランス横の一室。外からは角張った面しか見えないので、柔らかなカーブが意外でした。
美術館通り側。ホールで盛り上がる人々のシルエット。こんな風に賑わいが戻れば最高ですね。
青山クラブともども良い活用法が見つかりますように。