類まれな造形美でひとびとを魅了する国立京都国際会館。丹下健三の弟子、大谷幸夫による特A級の名建築です。
これまで限られた機会にしか見学できませんでしたが、10月1日にカフェがオープン。月に数回の一般開放日が設けられたので早速お邪魔してきました。
まずは受付でカフェ目的での来訪を告げ、バッジと案内図をもらいます。写真撮影はOK。会議場と2階より上は立入禁止です。
※エントランス側の外観もスゴいのですが今回は割愛。館内と庭園側に焦点をあてて記事にしていきます(省きに省かないと書ききれない…)
何かを予感させるような心躍るアプローチ。上部から差し込む自然光が、コンクリート壁の荒々しさを浮き立たせています。
一本道を抜けた先のメインロビーは、3つのV字柱をシンボルとする大空間。各国要人が個別交渉に使うと想定されたため、会議場と同等の力が注がれました。
1997年、地球温暖化防止京都会議において京都議定書が採択された際には実際大いに活用されたといいます。
色が限られた空間なだけに剣持勇デザインのチェアが余計に色鮮やかに映ります。
カフェ「NIWA café」はそんなロビーの一角にオープン。京都ではおなじみの前田珈琲がプロデュース。営業時間は9時~18時です。
コーヒー300円。チキンカレー700円。フレンチトースト700円。ふつうの価格が嬉しい(むしろ安い)。アルコールで建物酔いに拍車をかけるのもいいですね。ほかにケーキやパック飲料もありました。
飲食は剣持勇の家具が並ぶラウンジ。もしくは庭園を見渡せるテラス席で。
庭園は周辺環境が丸ごと借景になっています。京都国際会館は日本初の国際会議場。外国人に見せる日本の風景として相当気を配ったと思われます。
回遊式になっていてオブジェが点在。茶室もあります。後日、桜の時期にも訪問しました。
前面の池には、舞台の花道のような通路が縦横に組まれています。一番奥の山に視線が誘導されるのはこの通路のおかげでしょうか。
ちなみに通路先端はベンチ。欄干とデザインが調和しすぎて最初は気付きませんでした。
振り返ると京都国際会館の迫力ある正面姿。
台形、逆台形の組み合わせは合掌造りに着想を得たとか。巨大な神殿のようにも見えます。
水に映ることで造形が反転します。
御神体は比叡山!といいたくなるアングル。
敷地外の建物で唯一見えるのがザ・プリンス 京都宝ヶ池(旧・京都宝ヶ池プリンスホテル)
村野藤吾の設計で1986年に竣工しました。台形と楕円。名建築家の競演です(大谷幸夫はホテル計画に好意的ではなかったという話も)
お客さんがまばらだったカフェも、午後にはかなり埋まっていました。
私は3時間の滞在中ずっとウロウロ。座っていた時間はごくわずか。優雅なリモートワークはまだ先の話になりそう。
カフェの一般開放日は公式サイトでチェック。その日を狙って京都入りする価値はあります。
「そうだ 京都国際会館、行こう。」