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壁に貼り付けられた陶器のカケラ
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生々しさを感じる不思議な造形
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今井兼次氏のフェニックス・モザイク作品「糸車の幻想」がついに復活!堺筋本町のオフィス街に彩りが戻ってきました。
…といっても、周辺で働いている方にもこのモニュメントの知名度は高くなかったかもしれません。まずは復活前の姿を紹介したいと思います。
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建て替え前にあった本町ビルディング。堺筋と本町通の交差点に面した視認性の高いビルでした。
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そのビルの屋上に「糸車の幻想」は設置されてました。当初は地域住民の憩いの場として屋上を開放。間近に観察できたようですが、近年は交差点から少し離れてようやくチラッと見える程度。普通に歩いていたらまず気付くことはなかったでしょう。
新たな本店ビルを計画した大阪商工信用金庫はこれを地域シンボルとして移設復元することを決めます
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復元途中の写真。壁に書き込まれた精密な図に驚きました。これに陶片タイルを貼り付けると
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こんな鮮やかな姿になります。
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2017年9月19日に大阪商工信用金庫本店ビルが開業。再び誰もが間近で見学できるよう整備されました。
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ビル敷地西側の本町通に面した場所に作品についての説明板があります。その脇にある外階段を上ると
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「糸車の幻想」がお出迎え
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しかも、まさかの水盤付きでした。開業当日の訪問だったのですが、水面が見えたときの驚きといったら…
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堺筋本町のある船場エリアはかつての繊維産業の一大集積地。クライアントの親会社だった東洋紡は言わずと知れた大手繊維業者です。糸車がモチーフの作品が制作されたのにはそんな背景がありました。
近くから観察すると色々細かい部分も見えます。
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人の顔。マリさん?
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私の中ではこれはボビンケース
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背景が立体になって波打っています。着物を表現していますね。糸車を使ってこれから織り上げようとする者が幻想を見ているのか、はたまた糸車自身が幻想を見ているのか…
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牛とその右側の1961の数字。これは作品の制作年です。
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ちなみにこの次の年の1962年。今井兼次氏は自身の代表作、日本二十六聖人記念館(長崎市)を完成させます。塔や壁面に陶片タイルを施しただけでなく建物も設計しました。氏の本業は建築家。クリスチャンでもありました。
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「糸車の幻想」でもほかの作品とおなじく自身が現場に入り先頭に立って制作を指揮したと思われます。
モダニズム建築が全盛の時代。「装飾」が批判の対象となる風潮の中で自身が心酔したアントニオ・ガウディを日本に紹介。率先してその手法を実践しました。
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作品に陶片タイルを使うのはガウディの手法の一つ。このオブジェの先端部分もサグラダ・ファミリアの尖塔と似通った点があります。
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文字も入っています。これもガウディの影響。「MARIA VERGINE」とありました。ちなみに点々とした穴は通風口。屋上時代からあったのですがこれも再現するなんて芸が細かい。
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“日本のガウディ”と呼ばれた今井兼次氏。有機的で生命力あふれる作品をこんな近くで見学できるなんてなかなかの贅沢です。
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そして忘れてはならないのが旧ビルの1階壁面にあった石のレリーフ。こちらも(おそらく)今井兼次氏の作品。歩道沿いにあったので記憶している方も多いでしょう。
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ひとつは堺筋側に保存されています。残りは失われてしまったのかなぁと思いきや
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なんと駐車場内にズラッと並んでいました。嬉しい瞬間です。
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復元を決めた大阪商工信用金庫さん、ありがとうございました!都市格はこういったところから向上していくと思います。見学はおそらく土日関係なく可能かと。堺筋本町にお越しの際には是非どうぞ。