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大阪から坂倉準三が消えてゆく | TabiKen -旅とビルと建築と-

大阪から坂倉準三が消えてゆく

日本建築界の巨匠として丹下健三、前川國男らとともに名をはせた坂倉準三。大阪にかなりの数の作品を残しましたが現在では多くが解体or解体の危機に瀕しています。そんな状態にある大阪の坂倉建築を、最近消えてしまった2作品を含めて5つほど紹介します。

塩野義製薬中央研究所

塩野義製薬が巨費をかけて建設した中央研究所。坂倉準三の師匠であるル・コルビュジエの影響がみられるコンクリートの日除け庇(ブリーズソレイユ)もイイですが、何と言っても両翼前面の施釉された青タイルが見どころでした。

大阪に作品が多かった理由に、彼が率いていた坂倉準三建築研究所が大阪支所を構えていた点が挙げられます。西澤文隆、太田隆信、東孝光ら一線級の所員が在籍しました。出光と並んで塩野義製薬(本社:大阪市)が坂倉準三を指名し続けたことも大きな要因です。

南海会館

坂倉準三✕南海電鉄の作品も複数ありました。南海ホークスの拠点だった大阪スタジアムも彼が手がけています。その大阪スタジアムへの動線として計画されたのが南海会館。南海難波駅などが入る南海ターミナルビルに隣接する細長い敷地に立っていて、高島屋、劇場、南海電鉄の本社機能などが入っていました。

建て替え後の新南海会館ビルは高さ150mの超高層複合ビルとして2018年10月にオープン予定です。

東大阪市旭町庁舎

反った屋根とさらに反り上がった玄関庇。関西を代表するモダニズム建築は、色気たっぷりの姿をみせてくれます。北側面にはル・コルビュジェ代表作の「ロンシャンの礼拝堂」っぽい窓がポツポツあいているなど見所多し。完成当初は枚岡市庁舎でした。

人気の高い建築ですが解体がほぼ決まっていて2016年から閉鎖状態。まだまだ活用できるのでは?と思いますが「耐震性」という無敵ワードに敗北…

大阪観光女子寮

大阪に残る坂倉建築で一番活気に溢れるのは箕面観光ホテル・スパガーデンですが、その近くにあった元運営会社の女子寮は荒れるに任せた状態。再生することはまずないでしょう。2棟の寮の間に架かる橋が見所です←そこしか見えない

大阪府総合青少年野外活動センター

大阪と京都の境界である剣尾山の麓にかつて東洋一と謳われたキャンプ場がありました。180万m2の広大な敷地を大阪府営繕課と協力して整備。複数あるキャンプサイトごとにメインホール、山小屋風のロッジなどが立てられました。日本で最も栄誉ある日本建築学会賞に輝いています。

センターは2011年に閉鎖。現在は一部がアウトドアパークなどとして再活用されており、建物の1棟は受付事務所として使われます。が、本館や総合ホール(体育館)をはじめとするほか数十の建物は放置されたまま。写真はそのうちの1棟である第4キャンプ場のメインホールです。当時は黄色の瓦屋根だったはずですが他の建物と同じく赤いトタンに変わっています。

坂倉準三の建築は大阪だけでなく全国でも受難が続いています。

東急東横店南館(東京都)はもうすぐ解体されますし

代表作のひとつである羽鳥市庁舎(岐阜県)にもまさかの黄信号が灯りました。

呉市庁舎(広島県)はもう無いのかな?

坂倉準三が手がけ、日本随一のモダニズム建築とされる神奈川県立近代美術館鎌倉館でさえ存続問題に揺れました。この時代の建築が置かれた現状は厳しい…。

坂倉準三の存命中に建てられた建築はもはや数えるほど。機会があればそちらも一覧化したいと思います。とりあえず東大阪市旭町庁舎は見納めておきましょう!