旧奈良監獄の地下が想像以上の無法地帯。見学会のはずがダンジョン探検みたいになってしまった記録です。
放射状に伸びる舎房と行った見所は↓の前回見学記をご覧ください。
今回の見学会はホテルへの本格改修工事を前に実施されました。私は2017年7月に続いて2度目の入獄。同行者がいるので、撮影目的ではなくノンビリ見学モードで出向いたはずでした。
そんなお気楽気分は、地下階段を前にして吹っ飛びます。ホラー映画さながらの雰囲気が理由ではありません。前回と違って、立入禁止のロープがない。まさかまさかの地下開放。
降り立った地下は…
暗い!
危険!
恐怖!
廃墟三要素の揃い踏み。
それでいて運営側のガイドは見当たらず、写真2枚目も勇気さえあれば進入し放題という見事なまでの放任主義。無論これより立派(?)な廃墟はゴロゴロあるでしょう。ただ、今回はあくまで一般向け見学会。
主催に法務省、共催に奈良県、奈良市が名を連ね、建物は国の重要文化財。錚々たる顔ぶれが揃ってこの状態。
スマホの懐中電灯を頼りに徘徊するWalkerたち。善光寺の胎内巡りや友ヶ島なんかと同じような、どうしようもない闇。
「これ…ほんとにイイの?」「絶対ケガ人出るよね…」
ボソボソそんな声が聞こえてきます。おそらく誰もが感じていました。
換気口的な何か。スマホの灯りは最奥まで届かず。
漏れ入る光が嬉しい。
ここで、旧奈良監獄の模型を参考にして地下ダンジョンの位置を確認します。
舎房が放射状に伸びる形態は「ハヴィランド・システム」と呼ばれます。中央看守所でまとめて監視できるので効率的。ジャズピアニストの山下洋輔さんの祖父、啓次郎さんによって設計されました。
地下空間が広がるのは5つの舎房の付け根あたり。もっとも、当日は方向感覚を喪失してどこがどこやら状態でしたが。
隣の舎房地下に移動する際には外に出られます。帽子みたいのが中央看守所の屋根。
明治の入獄者も見た景色。
躊躇しますよね。1歩進むと闇に飲み込まれるんですから。。。
RPG的にいえば宝箱の部屋。「拘束衣」の隣は「さすまた」でした。
ようやく1階に脱出。ホッとすると共に、撮影が殆どできなかったこと、多くの未探検エリアに悔いが残ります。チラッと見えたレンガのヴォールト天井。あの屋根裏みたいなのはきっと凄い。
ということで見学会2日目も急遽参加。一脚持参!
チケットは事前申込制だったのですが、運営は当日券を乱発。グダグダに感謝です(初日初回の殺伐とした雰囲気を伝えたい…)。期待に胸膨らませての入獄は、結論から言うとダメでした。「地下はこちらでーす」の声を聞いた瞬間のヤな予感は的中。
明るい!安全!安心!
一般向け見学会として至極まともな地下空間に変身。立入禁止エリアも大幅に増え、お目当てに辿り着くことはもうできませんでした。でも、明るくなったおかげで撮れた写真もあります。2日目の成果を並べていきます。
倉庫
風呂場(皮膚病の方や、集団に馴染めない個人用だとか)
逆に病みそう。
各寮への配水管(だったかな?)
猫も地下探索を楽しんだようです。
門を出る頃にはすっかり日が落ち、ナイトツアーの列ができていました。
ホテルへの改修後、地下は一体どうするつもりなんだろう。何かに活用して欲しいし、その需要はきっとあります。例えばホラー映画のロケ地とか、バイオハザード体験施設とか、リアル脱獄ゲームとか…。