2020年頃までに解体されるはずが映画「この世界の片隅に」に登場したことで注目を浴び、一転存続への道が開けた青山クラブ。
建築イベント「ひろしまたてものがたり」のツアーに参加し、隣の桜松館ともども見学してきました。
青山クラブは昭和4年、呉海軍下士官兵集会所として竣工。宿泊設備、食堂、浴場などを備えた福利厚生施設で「天下第一の倶楽部」なんて称号もあったそう。モダニズムを感じさせる角のアールと横連窓を、外観の特徴としています。
終戦後、英連邦占領軍の司令部となり、昭和33年からは海上自衛隊呉集会所本館。平成29年に閉館し、ベニヤ板に覆われましたが、今は「この世界の片隅に」の登場人物のイラストやロケ地マップが目を楽しませてくれます。
建物がハデな赤色に塗られたのはもちろん戦後で、当初はスクラッチタイル貼りでした。1階の物置き場?と屋上のパラペット裏に、その名残があります。
「この世界の片隅に」では、スクラッチタイルの姿と、戦時迷彩のコールタールが塗られた姿で登場しました。
建物1階の通路を抜けると列柱が迎えてくれました。中庭の左方向は入船山。
コリドーの床にはガラスブロックがあり、地下階に光を届けます。
2階バルコニーは、軍施設っぽくない柔らかさ。青山クラブが立つのは市街地と海軍エリアのちょうど境目で、双方の交流の場でもありました。市民が売店などに立ち寄ることも多かったといいます。
建物内部はこんな感じ(見学ツアーでは入れず)。アール部分は武道場…だったかな。
解体はとりあえず免れたものの、青山クラブはまだ有効な活用法は見出されていません。呉観光の核である「大和ミュージアム」とは微妙に距離があり、回遊性がネック。耐震性の問題も抱えます。
その他に目についたもの
次回記事では桜松館を紹介します。