淀屋橋の石原ビルディングからの眺めが最高でした。建物の解体がいよいよ始まったようなので、惜別の思いを込めて記事にします。
石原ビルディングは昭和14年の竣工。御堂筋が拡幅されて間もない頃から、淀屋橋交差点を見下ろしています。
ビルオーナーである石原時計店は、江戸時代から先進的な商品を扱っていただけあって、歴代の建物もランドマーク性の高いものでした。特に大正期の心斎橋南詰時代は、石造の心斎橋ともども絵葉書、古写真でよく目にします。
今回お邪魔したのは8階のひときわ大きな窓があるフロア。いつも見上げるばかりだった場所に入れるのは感動ものです。
新進気鋭の不動産会社、渋井不動産さんが入居してらして、訪問を受け付けて下さいました。レトロとモダンが融合したスタイリッシュなオフィスに改装済みで、大きな窓がある部屋はお客さんとの商談等に使われていたそう。
期待度は高かったですがこの眺めは想像以上。中之島方面に視界が開けていて、梅田のビル群まで遠望できました。右側の大きな建物が大阪市庁舎、日本銀行大阪支店がその向かいに立ちます。
エリア最古参、日本銀行大阪支店は明治15年の竣工で、国重要文化財になっています。
阪神高速の向こう側にガラス張りの新・大阪三菱ビル(高さ147m、2024年)が完成すれば、超高層ビル群との対比っぷりがますます冴えわたるでしょう。
もうひとつのドーム屋根、大阪府立中之島図書館もチラリ。こちらも国重要文化財。
大阪御堂筋の矢印風景。
ルネッサンス風の塔をもった先代・大阪市庁舎(1982年解体)を眺めるにもベストスポットだったに違いありません。
御堂筋を挟んで向かいの淀屋橋東地区でも再開発に向け、建物が解体中。石原ビルディング含む淀屋橋西地区の再開発ビルと意匠を合わせるなどして、ツインタワーを形成します。
この2つのプロジェクトは淀屋橋復権のカギとなります。石原ビルディングからの眺めが見納めになるのは惜しいですが、次は新ビルの基壇部屋上からの眺望に期待しましょう。
なお、渋井不動産さんの移転先は大阪農林会館(さすがのチョイス!)。石原時計店さんはせんば心斎橋筋商店街に仮移転中で2025年、新ランドマークビル完成の暁には、再び淀屋橋に戻られます。