前は天守、後ろはビル。愛知の碧南市をウロウロしてたら大胆なキメラ建築に出くわしました。城を模した建物はたまに見かけますが、これほど見事な半身天守は初めて。ちょっと面白いので調べてみました。
西三河地方を指す「三州」と碧南市の「碧」を組み合わせた「三州碧城」はバブル末期の1991年、地元和菓子屋の両口屋が8億円をかけて築城しました。お店を何度も建て替える普請道楽な社長だったらしく、店舗兼ご自宅の天守はその集大成でした。
正面の立ち姿は堂々たるもの。千鳥破風、唐破風が付く5層5階の層塔型天守で、破風の鬼瓦には両口屋の「両」の金文字が刻まれます。1階壁面を兼ねる石垣は打込み接ぎの乱積み。大屋根に金のシャチホコが載るあたり、さすが愛知県といったところです。
そんな威厳ある姿も少しアングルを変えればこの通り。建設費の節約か、床面積を確保したいためか。いずれにせよ落差がスゴい。
右に立つ碧南市役所からは、城を俯瞰できるかもしれません。
ビル成分が大半な南側。
シャチホコがチラリ。
西側。
隅部の反りとか軒裏とか、結構リアルな造りなのでバッサリ具合が余計に出ちゃっています。ビルの突き出た部分はおそらく階段。瓦屋根を載せたのは境目を中和するためでしょうか。
両口屋は2018年2月に閉店し、代わって城主になったのが地元資本の親和建設。同年8月に本社ビル(本社天守?)として再稼働させました。HPではドローン空撮や夜のライトアップ姿を見ることができます。
ギャラリー、展望台、烏骨鶏の養鶏場といった使われ方をしてきた最上階には今、緑十字が翻ります。