石切の白龍神社。廃駅となった孔舎衛坂駅の敷地内にあるので普段は入れないのですが、正月に開放するよーと地元の方に教えてもらったので、初詣をかねて行ってきました。
近鉄石切駅で下車し、石切神社に向かう人波に逆らうように進んでいくと、目印である鷲尾開閉所が見えてきます。
扉はホントに開いてました。まさかこんなお手軽に入れるとは。駅跡には対面式ホームが残っていて、かつては奈良行き側に駅舎がありました。
近鉄奈良線は大阪市内から一直線に生駒山麓へ。瓢箪山駅付近で向きを変えて高度を稼ぎ、再度急カーブして生駒トンネルに突入していってました。孔舎衛坂駅はそのトンネルの手前にあった小さな駅です。
大正3年に日下駅として開業した後、鷲尾駅に名を変え、昭和15年(皇紀2600年)に神武天皇ゆかりの地名を冠した孔舎衛坂駅(くさえざかえき)に改称。新生駒トンネルが開通した昭和39年、旧生駒トンネルとともに役目を終えました。
ホームを伸ばした名残でしょうか。上下線どちらにも階段が隠れていました
ホーム跡の石碑。フェンスの外から見えるのは裏・側面のみなので今回はじめて何が書いてあるかを確認。
「不動尊大龍寺 くさかたき道 是より北六丁」
「日輪教會 日乃神た■ 是■」
大龍寺は健在ながら、日輪教会はネット検索しても出てきません。生駒山麓は新興宗教のメッカ。栄枯盛衰さまざまな宗教が生まれては消えました。
旧生駒トンネルの抗口です。全長3388mは当時国内2番目の長さ。大阪電気軌道(近鉄)だけでなく施工者の大林組をも倒産寸前に追い込む難工事でしたが、苦労の甲斐あって近鉄隆盛の礎となりました。トンネル目当ての乗客も多かったとか。
いまは心霊スポットとして有名…。無断で立ち入ると自動的に110番通報されます。
さて、メインの白龍神社です。
白龍大神(白蛇?)をまつりますが、詳しい由緒はわかりません。一の鳥居は昭和33年、二の鳥居は昭和12年の建立。ほかに昭和10年代前半の数字をいくつか見かけたので、現在の形に整えられたのはその頃かもしれません。
人家が増えてきたタイミングで新たに作られた神社の可能性もありそうです。
まともに歩き回れないほど極狭な境内にも関わらず、社殿裏側に百度石がありました。石切神社のそれとは違って磨り減ることはもう無いでしょう。
白龍大神のお使いは狐?
「貫通石 東大阪線生駒トンネル 昭和60年4月17日」
東大阪線はいまの近鉄けいはんな線で、1986年(昭和61年)の開業です。近鉄は奈良線旧生駒トンネル(全長3388m)と新生駒トンネル(全長3494m)、そして東大阪線生駒トンネル(全長4737m)と、生駒山地を越える3つの長大トンネルを掘ったことになります。
近鉄けいはんな線生駒トンネルの生駒側の出口は、旧生駒トンネルを流用しています。
奈良側から乗ると、トンネルと駅を出た瞬間に大阪平野を見渡せたことでしょう。
見学記は以上です。扉が開いてるかは五分五分かなーと思っていたので大吉を引いた気分。正月早々よいものを見れました。 ※おそらくは地元の方向けの開放なので、訪問の際はマナーを守って控えめに楽しみましょう