祝!戦後モダニズム建築登録有形文化財登録答申!
前回の寒河江市役所庁舎に続く第2弾記事。今回とりあげるのは鳥取県米子市の皆生温泉にある東光園本館です。
↓前回記事
東光園は昭和初期に開業した観光旅館です。文化財の指定対象となった本館はオリンピック開催と同じ1964年に完成しました。設計は菊竹清訓です。
この東光園の一番の見所は柱!コンクリートの6本の主柱それぞれに3本の添え柱がついていて、日本建築に使われる貫、梁のようにそれぞれが繋がります。
この力強さよ!
そして、この建築も寒河江市役所と同じく吊り構造です。6本の柱で支えた屋上の2本の大梁(屋上右端からチラッととび出ている)から5、6階を吊っています。
よくよく見ると全部の添え柱上端が建物からちょっと離れてますね。「支えてません!吊ってるんです!」とアピールしているかのよう。
主柱と添え柱、長大な大梁。玄関の庇は建物構造をミニチュア化したような形です。この東光園本館は出雲大社がモチーフ。建物を鳥居に見立てているとか。
そもそも皆生は出雲神話と繋がりのある地だそうで同ホテルwebサイトには「出雲大社へ参拝するとき、実はこの東光園から出発するのが正式参拝と言われています」との記述があります(←ちょっと言い過ぎ?)
「中を撮影したいんですが…」との頼みに快く許可を出していただきました。全面ガラスのロビーからは大きな庭を眺められます。
庭を手がけたのは流政之。日本建築学会賞を受賞した菊川清訓の代表作「出雲大社庁の舎」(島根県松江市)においても菊川清訓と流政之はコンビを組んでいます。
ロビーにごつい柱が露出。たまりませんね。ラタンチェアは剣持勇のデザインです。写真右上のオブジェは当初からの作品ではないようですが、空間に絶妙にマッチします。正面奥に見える階段室も、この建築の見所のひとつ。
渋すぎ。踊り場の床が外にとび出してますが、その先端裏側に矢羽根の紋様が刻まれているのを発見。出雲大社庁の舎の壁面との共通点ですね。
出雲大社庁の舎を連呼していますが、初めて目にした時には既にこのお姿。2016年10月、解体工事開始の報道があった3日後の訪問でした。矢羽根が刻まれた大壁からプレストレスト・コンクリートの2本の大梁を40m架け渡した建築でした。
さて、東光園に戻って他の写真を紹介。「千と千尋の神隠し」の油屋を思わせる西面。
階段室とエレベーターシャフト。白い膜。
膜にズームアップ。
最後は庭から見た東光園本館です。ホントは池越しの風景が醍醐味なのですが宿泊者でもない者がウロウロしすぎるのもあれなので、ここらで引き返します。次回宿泊した際に4階ピロティや階段室、膜の中も存分に見て回りたいと思います。
さっき調べたら新館1泊素泊まりが6000円だった(←泊まれるお値段!)