貧弱な鉄道網から“陸の孤島”などと呼ばれる大正区ですが、渡し船に関してはメッカ。大阪市内に残る8渡船のうち7つが同区にあります。
画像出典:大阪市
今回はJR大正駅を起点に
④ → ⑤ → ⑥ → ⑧ → ⑦ → ③ → ② → ①
の順に、自転車で回っていきます。
落合上渡船場
まずは落合上渡船場。
岸壁間は100m。一日の平均利用客数は484人(平成29年度)
駅最寄り…といっても自転車で10分弱の距離があります。
「そもそも自転車って載せられるの?」
といった不安があるかもしれませんが心配ご無用。8渡船全てOK、どこも自転車客が半数以上を占めています。
人力離岸!
さぁ船旅のスタートです!
船からの見所は2つの水門。特に木津川水門はアーチ型のとても珍しい形。
…っと言ってる間に着岸。乗船時間1分ほど。
船はお客を乗せるとすぐ対岸に戻っていきます。どちらか一方が停留地になっているのが基本で、落合上渡船場では大正区側になります。
落合下渡船場
5分ほど自転車を走らせ落合下渡船場へ。
岸壁間138m。一日の平均利用客数は393人(平成29年度)
船上からはさきほどの落合上渡船場と木津川水門が。京セラドーム大阪の屋根も見えます。
大阪にのみ存在するというアーチ型防潮水門3つ。街を水害から守るとともにそのユニークな姿で親しまれていましたが惜しくも廃止が決定。あと10年ほどで姿を消すようです。
①安治川水門
②木津川水門
③尻無川水門 pic.twitter.com/KXNNYRQZo1— shoken@ビル景 (@bbbuilding100) 2019年2月1日
貸切気分。ちなみに船内は8つ全部がこんな感じ。先述したように自転車客が多いので座席はありません。
こちらも1分ほどの船旅でした。トプトプした水面がいいですね。ドブ臭さは感じません。
渡船場すぐ隣で唸りを上げる重機。工場地帯らしい風景を楽しめるのも大阪渡船巡りの魅力のひとつ。
千本松渡船場
自転車でさらに南下、次の目印となる“めがね”が見えてきました。
前半のハイライト、千本松渡船場
岸壁間230m。一日の平均利用客数は973人(平成29年度)
2つのループを持つ千本松大橋下が航路です。
美しい~気持ちいい~
川幅が広いので乗船時間もやや長め
中山製鋼所船町工場。大阪市内最強の工場萌えでした(過去形)
大正区に帰っていく渡し船をお見送り
千本松大橋は徒歩・自転車可なので時間がある方は挑戦しましょう。景色イイですよ!
道すがらの北加賀屋は造船の町。最近はアートが盛り上がっていて、名村造船所跡地では頻繁にイベントが実施されています。
木津川渡船場
木津川渡船場には場末感が漂います。
岸壁間は238m。一日の平均利用客数は166人(平成29年度)と8渡船中最少。私もココのみ今回が初乗船でした。
運行時間は要注意。1時間1便のみの時間帯もあります(ほか7渡船は昼間でも4便/時間くらいが通常)
木津川もここまで来れば河口の雰囲気。比較的大きな船も航行しています。右下のノッポビルはあべのハルカス。
今までの船は吹きさらしでしたが、初めて窓ガラスが入りました。風や波の影響が大きいのでしょう。
船町側の待合室は雰囲気、景色とも8渡船でナンバーワン。ここなら1時間待つのも苦じゃないかも。
新木津川大橋もループ付き。素晴らしい景色が望めますがヘトヘトになります。
直径100m
大阪の夜に浮かぶ巨大螺旋 pic.twitter.com/7xp8XsiBz3
— shoken@ビル景 (@bbbuilding100) 2018年11月27日
船町渡船場
さて次!
配管のゲートを越えた先は…
船町渡船場です。
岸壁間は75mと8渡船中最短。一日の平均利用客数は196人(平成29年度)
「昭和20年代後半から30年代にかけて、川幅が狭いことを利用して対岸まで船を連ね、その上に板を敷いて人や自転車が通行していた」のだとか。
船上より。さきしまコスモタワーをランドマークとする南港ベイエリアの眺め
千歳渡船場
IKEAで20分の昼食休憩後、6つ目の千歳渡船場へ。
岸壁間371m。一日の平均利用客数は578人(平成29年度)
並行する千歳橋も徒歩、自転車通行可ですが渡し船のほうが使い勝手が良いですね。早いし楽!
船上からのベイエリア橋景色。2枚目手前はなみはや大橋、奥は港大橋です。
甚兵衛渡船場
甚兵衛渡船場は浮世絵にも描かれた由緒ある渡し。
岸壁間は94mと2番目の短さながら、一日の平均利用客数は1189人(平成29年度)で唯一の4桁台。
朝のラッシュ時には2隻運行になります。
尻無川水門。市内に3つあるアーチ型防潮水門の2つ目が登場。向こう側からは水門越しに渡し船を眺めることも可。
さすが混雑路線。行きも帰りもギュウギュウです。
船は出港後、川上側に一度大きく船を振り、川下側に向きを変え、さらに180度ターンして着岸します。距離が短いがためのS字航行です。
さて、尻無川水門を横目に見がてら港区へと3kmちょっと移動。あと1ヶ所です。
天保山渡船場
いよいよ天保山渡船場にやってきました。寄り道をしたらもう夕方…。
岸壁間400mは最長。一日の平均利用客数は790人(平成29年度)
結ぶのは港区の天保山と此花区桜島で、それぞれ観覧車と海遊館、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに近接しています。駅チカ渡船場でもあるため観光客人気高し。外国人比率は間違いなくトップでしょう。
船上からの風景も実にドラマチック。斜張橋と橋脚、大阪都心部の超高層ビル群に観覧車。運が良ければ大型客船やサンタマリア号にも出会えます。
一日の最後を飾るに相応しい渡しでした。大阪市内8渡船を巡る旅はこれにて終了。
USJの喧騒が聞こえてくるJR桜島駅でフィニッシュです。
移動距離
改めて本日のルートをおさらい。
JR大正駅
↓(2.3km)
落合上渡船場
↓(0.7km)
落合下渡船場
↓(1.2km)
千本松渡船場
↓(3.0km)
船町渡船場
↓(1.1km)
千歳渡船場
↓(1.4km)
甚兵衛渡船場
↓(3.4km)
天保山渡船場
↓(0.7km)
JR桜島駅
合わせて11.8km。寄り道なしだったら3時間かからないでしょう。歩きでも無理な距離ではありません。
大阪にお越しの際は小さな船旅を是非どうぞ。