祇園花見小路の石畳が水道管工事に伴って一時的にアスファルトになっています。風情は皆無ですが肯定的に捉えれば今しか見られない貴重な光景といえます。
まずはビフォ・アフター。四条通から花見小路への入り口付近の一部だけ残し、大半がアスファルト化されました。
花見小路が石畳になったのは実は比較的最近。2002年まではアスファルトだったので、この風景に懐かしさを覚える人もいるかもしれません。約6億円をかけた修景事業として、地元も積極的に関与。観光客が飛躍的に伸びる要因となりました。
しかし近年、祇園は“オーバーツーリズム”や“観光公害”といった言葉とともに語られることが多くなっていました。情緒が出過ぎたことで皮肉にも祇園本来の情緒が失われる結果を招いてしまったのです。
2019年10月、祇園町南側地区協議会はついに花見小路通周辺の私道での写真撮影を禁じ、違反者に1万円の罰金を科すという前代未聞の決定を下します。週刊文春には地元の悲痛な声が掲載されています。
「もう観光客が来なくなればいい」……「私道での撮影禁止」は花街・祇園のSOS(週刊文春)
「よそは観光客に来てほしいけどマナーは守って欲しいと思っているのでしょうけど、うちはちがいます。そもそも観光客に来て欲しくないんです」
厳しい言葉です。旦那衆の遊び場である祇園とワイワイ騒ぐ観光客(一見さん)はそもそも相性が良くなかったのです。
「石畳をアスファルトにすることで情緒を無くし観光客を減らす。白線を引いて歩行者天国状態を解消する。すごい荒療治だ!」的な勘違いTweetをしてしまった背景には、そんな事情を見聞きしていたからいうのもあります(大反省)
アスファルト化については京都新聞が詳しいようです(有料記事なので読めるのは冒頭のみ)。石畳を剥がす→アスファルト舗装→水道管工事→石畳に戻す、という流れでしょうか。
京都・祇園の花見小路から石畳が消えた 「景色が違う」驚きの声(京都新聞)
一力茶屋の赤、アスファルトの黒。珍しい風景だと思う一方、やっぱり石畳は風情があるのだなと実感するイイ機会にもなりました。