通り峠 丸山千枚田展望所からの棚田風景は日本一といって過言なし!

“日本一の棚田”との呼び声高い和歌山県の丸山千枚田。ちょっとした穴場スポットである「通り峠 丸山千枚田展望所」からは、その称号がふさわしい絶景が広がります。

まずは県道脇にある一般的な展望スポット。駐車スペースがあるので、観光客はほぼ例外なくここからの眺めを楽しみます。

先ほどの場所も日本屈指の棚田展望スポットでしょう。しかし、今回の目当ては別の場所。県道を500mほど南に進み「熊野古道 通り峠」とある案内板を目印に山道に入ります。

石畳を踏みながらの登り道。思えば自身初の熊野古道かも。

石畳が終わると土の道。最後は170段の階段が待ち受けます。

ぜぇぜぇと息を切らせて山道を30分。

鬱蒼とした杉林がようやく開けてきました。このさきで間違いないでしょう。

一気に視界が開けました。「通り峠 丸山千枚田展望所」に到着です。

望遠レンズを覗くと思わず「おぉ!」っと声が。茅葺民家探しで日本全国の田舎を巡り、それこそ日本の棚田100選に選ばれた棚田もたくさん見てきましたが、ここはダントツ。『世界最高』であろう中国雲南の棚田を想起したのは初めてです。季節は5月中旬。田植え時期の一番いいタイミングでの訪問となったことも、感動を押し上げてくれました。

道にフォーカスした1枚。畦の緑、田に張られた水、道の白さのコントラストに、赤屋根が彩りを添えます(もっとズームしたいけれど300mmレンズではこれが限界)

引きで撮るとこんな感じ。中央のくねくね道を挟んで手前側と奥側で色が違います。

手前側は原始の趣き。何百年前かの先人が、地形を読み取って1枚1枚作った結果、グネっとしたこの形になったのかな。先端部が溶岩みたいに流れ下っていきそうな、そんな生命感があります。

目をこらすと田んぼでは代掻きの真っ最中。しかも手作業なのが驚き!農作業の効率化を図るための田んぼの整形工事がされていない点。それもこの丸山千枚田の景観を素晴らしく見せる大きな要因です。

一部には耕作放棄地がありますが、これでも大きく回復しています。最盛期には2000枚以上あった棚田は平成初期に530枚にまでその数を減らしました。荒廃を嘆く地元民が丸山千枚田保存会を設立し、棚田の復田作業に取り組んだ結果、現在は1300枚を超えるまでになりました。

この展望台でも棚田オーナー制度のスポンサー4人組と会いました。名古屋近辺にお住いで、なんと次の日が一斉田植えだそう。今夜は温泉に宿をとって飲みまくるぞーと言っておられました。

田植え時期の休日。下界は結構多くの人で賑わっていましたが、ココで出会ったのはその1組のみ。ベンチに腰かけ、1時間以上にわたってこの景観を独占する贅沢な時間を過ごせました(注:朝夕はおそらくカメラが並びます)穴場スポット…ではないはずなのですが、片道30分の山道が観光客を阻んでいるのか、結果として穴場スポットになってました。下に十分満足できる展望スポットがあるのも理由のひとつかも。

大阪、名古屋から高速を使っても3時間(私は下道で行きましたが)となかなかの秘境ですが「日本一の棚田」に出会った喜びが、疲労感に大きく勝りました。稲穂が黄金色に染まる秋はきっとまた格別!その時期に再訪したいと考えています。

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