「阪神間モダニズム」の代表的建築の一つである宝塚ホテルの移転詳細が明らかになりました。移転建て替え計画は既に決定事項でしたが、あらためて発表されると寂しいものです。
追記:開業初日に見学してきました!
移転先は宝塚歌劇団の本拠地である宝塚大劇場西側の平面駐車場。現・宝塚ホテルは武庫川を挟んで対岸にある阪急宝塚南口駅そばに立っています。この写真のど真ん中、黒く影になっているような建物がそれです。
寂しさを感じる一方、心躍ったのが新ホテルの完成予想図。現ホテル本館のイメージを継承したクラシカルな外観が素敵!さすがの阪急さんです。屋根色はもちろん大劇場に合わせた赤です。(画像は阪急電鉄のプレスリリースより)
現ホテルの特徴である切妻三角屋根、そしてレリーフを完成図で見ると
ちゃんと引き継がれています。細かい点を言うと、正面の窓が4列→3列になり、柱頭飾り付きの柱が5本→4本になっているので、幾分スリムな印象になるかもしれません。
マンサード屋根にあいた半円形の窓と庇。ヨーロッパ!って感じですよね。
完成図では庇の絶妙なライン、窓割デザインがちゃんと再現。ただ、屋根のちょっとした反りが無くなったのに伴って窓横の壁の線がシンプルな直線になっているように見えます。マンサード感も薄れていますね。
宝塚ファンが地味に喜ぶであろう点。それは歩道の拡幅。有名な「花のみち」と車道を挟んで並行する道です。現状は人ひとり通るのがやっとの広さなので、2公演ある日の入れ替わり時間帯は結構大変な状態になります。その問題もやっと解消されそう。
以前は「花のみち」に沿って多くの店舗が立ち並んでいたようですが阪神大震災で壊滅状態に。いまは再開発されたマンションの低層階が店舗フロアになっていますが、おそらく当時の賑わいはありません。宝塚ホテルの移転を起爆剤に活気を取り戻して欲しいですね。
ホテルは本館、新館、東館、西館と増築に次ぐ増築を重ねています。もちろん一番の見所は1926年(大正14年)完成の本館。京阪神初の洋館ホテルで、兵庫県の景観形成重要建造物に指定されています。内部は改装されていますが、一部当時の雰囲気を残しています。かの谷崎潤一郎も宿泊したとか。
同じ阪急グループが運営する宝塚歌劇団とは切っても切れない関係。スターのお茶会やディナーショーの場にもなっているほか、劇団関連の展示もあります。写真は星組公演『ナポレオン』のジョセフィーヌの衣装です。
これは、過去に大劇場で使われた緞帳。
トップスターのパネルもありました。まぁ様(朝夏まなと/宙組)みっちゃん(北翔海莉/星組)ちぎちゃん(早霧せいな/雪組)まさお(龍真咲/月組)みりお(明日海りお/花組)に、理事(轟悠/専科)を加えた6人です。この写真を撮ったのは2015年7月。そこから2年弱が経ちましたが、既に2人が退団済み。さらに、ちぎちゃんが退団公演中で、まぁ様は次作での退団が決まっています。
今更ですがわたくし、3年ほど前からタカラヅカにどっぷりハマってしまっています。大劇場公演は20作くらい連続で観劇していて、それはこれからも途切れることはないでしょう。先週日曜日に観た雪組公演「幕末太陽傳/Dramatic “S”!」(2度目)において人生初のSS席を体験。大変に素晴らしかった。応援するトップスター2人の退団決定に、少なからずショックを受けている事と合わせてココに記しておきます。
さて、話を戻します。現・宝塚ホテルの跡地利用はまだ決まっていませんがタワーマンションになる可能性が高そう。ちなみに阪急宝塚南口駅には宝塚歌劇団生の寮である「すみれ寮」がありましたが、それも最近になって大劇場そばに移転しました。
現・宝塚ホテルから宝塚大劇場へは歩いて10分ほど。聖地を正面に見ながら、これまた聖地である武庫川を渡るという…ドラマティックなステージ~♪です。ホテル宿泊者は関西地域以外の遠征ファンが多いでしょうからなおさら感慨深いでしょう。隣のタワーマンションの屋根も大劇場色。
写真左端あたりがホテル建設予定地。武庫川を見下ろすロケーションがいいですね。大劇場至近なので入り出待ちも捗りそうです。通常なら川側が高料金でしょうが、このホテルにおいては大劇場側の部屋の方が高くなりそうな気も(笑)
開発スケジュールも書いておきます。2017年9月、大劇場向かいに立体駐車場が完成するのに伴って平面駐車場を閉鎖。ホテルは2018年春から新築工事に入り、2020年春に開業を迎える予定です。客室数は約200室と現在比70室増。1~2階にカフェレストラン&バイキングなど4施設が入ります。
設計施工者は未公表。宝塚大劇場をふくめ多くの阪急関連施設を手がける竹中工務店が第一候補。現・宝塚ホテルの施工者だった大林組(設計は古塚正治)が第二候補でしょうか。
最後にもう一度、新・宝塚ホテルの完成予想図を。殺風景な駐車場を横目に劇場に向かうより、こちらの方が俄然観劇の気分が盛り上がります。期待して2020年を待ちましょう!
…3年後となると95期からいよいよトップスターが出始める頃…いったい何人輩出するだろうか…ブツブツ。