建築家永田祐三(永田・北野建築研究所)は、400億円の巨費をかけた空前絶後の豪華ホテル、ホテル川久を手がけたことで知られます。そんなホテル川久で活躍した一流の職人技を用いて建てられたのが、光世証券本社ビル。大阪の金融街北浜でも、ホテル川久の空気に触れることができるのです。
まずは外装。凸凹としたレンガ積みはホテル川久以来、永田祐三の建築でよく見られるもので、東京の光世証券兜町ビル(1999年)も同様のデザインになっています。レンガ製造元はイギリスのイブストック社。光世証券本社ビルでは20万個、ホテル川久では140万個が、高山彦八郎・彦十郎親子らの手によって積まれました。
ホテル川久では吹き抜けロビーと回廊の間に、北イタリア・ザニーニ工房製のグリルが使われます。
光世証券本社ビル低層部を彩る鍛鉄グリルもザニーニ工房製。溶接は一切していないとか。グリル越しに覗く中之島も良いですし、影も楽しい。
照明の金物、地下フロア入り口のグリルも多分それ。
永田祐三建築は階段が楽しい!1段目のふくらみと、それに合わせて大きく開いたステンレス手摺を特徴とします。円と楕円好き。
アルジェリア出身のヤモウ氏による照明
光世証券本社ビルの照明もヤモウ氏です。数百のガラスの雫が垂れ下がる一つ目は特にスゴい ※別人の作品が含まれているかも…
カーテン
ホテル川久といえば荘厳なロビーが有名ですが、光世証券大阪本社ビルでも2階応接室、11階GTホールがアーチの空間です。感嘆の声をあげる見学者も多くいらっしゃいました。
海外製タイルが張られたホテル川久ロビーの多彩さは目が回るほど。一部、寄木張りになっている部屋もあります。
光世証券大阪本社ビルの寄木張りコレクション。
光世証券創業者の巽悟郎は1961年(昭和36年)、25歳で会社を興し、社員一人あたりの利益が業界トップになるほどの少数精鋭集団を率いました。永田・北野建築研究所の設立初期からのクライアントで、自邸、別邸、社員寮等も依頼しています。この本社ビルを見る限り、ホテル川久(1991年開業)にも間違いなく宿泊したでしょうね。
光世証券大阪本社ビルは初参加のイケフェス大阪2022で広く公開されました(投資セミナーなども随時開催)。ホテル川久はミュージアムが開館し、お手軽な見学ができるようになりました。どちらかを訪れた際、もう一方に思いを馳せる。北浜と白浜は繋がっています。