奈良監獄がホテルに!再生を歓迎する一方、ちょっぴり漂うコレジャナイ感…

明治の五大監獄のひとつ

なんてロマン溢れる響きでしょう。明治の近代化政策の一環として1908年に建設された奈良監獄。同時期に完成した長崎、鹿児島、金沢、千葉の四監獄が次々と姿を消すなか、2017年3月に廃庁となるまで現役の刑務所(奈良少年刑務所)として稼働していました。

 

建物は堂々とした赤煉瓦の洋風建築。この写真にある表門(ひょうもん)ほか5つの舎房、庁舎、監視所、拘置監など10棟以上が完成当時の姿そのままに残っています。

 

手がけたのは司法省の山下啓次郎(←ジャズピアニストの山下洋輔さんの祖父)。欧米の監獄視察で得た知見をもとに設計しました。

 

庁舎は和洋折衷、瓦が使われていますが煉瓦や尖塔にすごくマッチしているように思えます。

 

何十…何百万個にもなるであろう赤煉瓦は受刑者自らが焼き、そして積んだとか。

 

ただ、見てもわかる通り、建物や塀の老朽化が進行。法務省は当初、建て替えや解体を検討していました。

 

しかし、施設に慣れ親しんでいた地元住民たちを中心に反対運動が展開されます。結果、保存が決まっただけではなく、2017年2月には国の重要文化財に指定されました。

 

そして2017年5月、法務省は建物の今後の活用法を募集した「旧奈良監獄保存活用事業に係る優先交渉権者」の選定結果を発表。事前に予想されていたとおり、ホテルを中心にした複合施設に決まったのが現在です。

法務省:旧奈良監獄の保存及び活用に係る公共施設等運営事業について

以下、法務省の資料に添付された5枚の完成予想図とともに計画を見ていきます

 

まず整備後の俯瞰図。奈良監獄は100年を超える運用期間の間に、実習場など多くの建物を増築していますが、それらは殆ど撤去されてますね。一方で、いくつかの建物、駐車場が新設されているのがわかります。

 

重要文化財指定の19棟はもちろん残されて、様々な用途に活用されます。フロント(監視所・庁舎)から放射状に伸びる5つの舎房のうち4棟を文化財リノベーションホテル(150室)に転用。奥に向かう1棟と左下の拘置監・倉庫を史料館にして、奈良監獄や日本の行刑の歩みなどを展示します。

最大の新設建物は一番奥のホテル棟(80室)。右下のドミトリーは無印良品ブランドの「MUJI HOSTEL」(60床)です。どんな内装になるかはもちろん、再利用する建物が医務所と病監なのも気になります。いっそ、お化け屋敷にしてほしかった気も…。

 

施設を利用できるのはホテル宿泊者だけではありません。商業テナントを誘致するほか、イベントスペースなども設けて、外からお客を呼び込みます。

 

続いては新設ホテル棟の完成イメージ図。「重要文化財を眺める特等席」「さまざまな方向から美しい煉瓦建築の建物を眺められるビューを確保」などと謳っています。

 

 そして、いよいよクライマックス!監獄棟を使った文化財リノベーションホテルですが…あれ?私の思い描いていた監獄ホテルとはだいぶ違うような。もっと荒々しいものを想像していました。監獄ホテルに来るような旅行者はこんな小綺麗な部屋じゃなく、もっとレアな宿泊体験を求めてるんじゃないかなーと。

でも、世界のほかの監獄ホテルも、ラグジュアリーに改装したのが主流なようなのでコチラが正解なのかもしれません。“ホテルとして快適である空間”を目指すのだそうです。

扉(廊下側)は、既存のものの意匠と酷似。実物は開閉に苦労する重さらしいので作り替えでしょうか。でも、重いほうが絶対イイ!そして、解錠法と音にはこだわって!…と思います。

 

ちょっと想像と違っていて、いろいろ意見しましたが、基本「良かった!」と考えています。最初は解体予定だった建物が、日本唯一の監獄ホテルとして再生されるのですから。ユニークな施設としてきっと大きな話題にもなるでしょう。ホテル不毛の地である奈良に新風を吹かせてくれることを期待します。

 

史料館開業:平成31年

ホテル開業:平成32年頃

ホテル運営:ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ

宿泊料金:1万円台が中心